「何のために貯める?」夫婦で共通目標を見つけ、お金の話し合いをスムーズに進める方法
夫婦の「何となく不安」を「一緒に目指す目標」に変える
夫婦でお金の話をすることに、漠然とした抵抗感や不安を感じる方は少なくありません。特に、将来の教育費や老後資金など、まとまったお金が必要になる時期を考えると、「うちのお金は大丈夫だろうか」という不安がよぎることもあるでしょう。
また、夫に相談しようとしても、「大丈夫だよ」と軽くあしらわれたり、そもそもお金の話を避ける傾向があったりする場合、どのように切り出せば良いのか、話し合いをどう進めれば良いのか分からず、さらに不安が募ってしまうこともあるかもしれません。
夫婦間の金銭感覚の違いも、話し合いを難しくする要因の一つです。「お金の使い道」や「貯め方」に対する考え方が異なると、「どうせ話しても理解してもらえない」「感情的になってしまう」と感じてしまうこともあります。
このような状況から抜け出し、夫婦で未来のお金について前向きに話し合うためには、「何のために、いつまでに、いくらを貯めるのか」という共通の目標を持つことが非常に有効です。共通目標は、漠然とした不安を具体的な行動に変え、夫婦がお互いに協力し合うための羅針盤となります。
この記事では、夫婦で共通の目標を見つけ、それを基にお金の話し合いをスムーズに進めるための具体的なステップと、話し合いが苦手なパートナーとの向き合い方についてご紹介します。
なぜ、お金の「共通目標」が話し合いをスムーズにするのか
夫婦でお金の話をすると聞くと、「節約しなきゃ」「もっと貯めなきゃ」といった義務感やプレッシャーを感じる方もいるかもしれません。しかし、共通目標を見つけるための話し合いは、単なる家計の管理を超え、夫婦の将来に対する「希望」を共有するプロセスです。
共通目標を持つことには、以下のような利点があります。
- 漠然とした不安の具体化と解消: 「なんとなく不安」だったお金の状況が、「〇〇のために、あと〇ら必要」という具体的な数字と目的に変わることで、不安の正体が明確になり、それに対する具体的な対策を考えられるようになります。
- 話し合いの動機付け: 「何のために話すのか」という目的が明確になることで、話し合いへのモチ合いベーションが向上します。目標達成というポジティブな目的に向かって、建設的な対話が生まれやすくなります。
- 協力体制の構築: 共通の目標を持つことは、「私たち夫婦は同じ方向を向いている」という一体感を生み出します。これにより、お金に関する課題に対して、夫婦で協力して取り組もうという意識が高まります。
- 優先順位の明確化: 共通目標があると、「今、何にお金を使うべきか」「何に使うべきではないか」という判断基準ができます。日々の家計管理や大きな買い物の意思決定において、優先順位をつけやすくなります。
夫婦で「共通目標」を見つけるためのステップ
では、具体的にどのようにして夫婦で共通の目標を見つければ良いのでしょうか。いきなり「貯金目標を決めよう」と切り出すのではなく、まずは二人の「思い」や「将来像」を共有することから始めてみましょう。
ステップ1:お互いの「漠然とした思い」や「夢」を共有する時間を持つ
堅苦しく考えず、リラックスした雰囲気で、お互いの「将来に対する漠然とした思い」や「叶えたい夢」について話してみましょう。
例えば、
- 「将来、こんな暮らしがしたいね」
- 「子供が巣立ったら、〇〇に行ってみたいね」
- 「退職後は、ゆったり過ごしたいな、それとも何か新しいことを始めたい?」
- 「今は大丈夫だけど、将来のお金のこと、ちょっと不安に思うときがあるんだ」
といった、素直な気持ちを共有することから始めます。相手の話を遮らず、まずは共感する姿勢で聞くことが大切です。批判や否定はせず、「そう思うんだね」と受け止めることから始めましょう。
ステップ2:具体的なライフイベントや将来について話し合う
お互いの思いを共有できたら、次に具体的なライフイベントや将来の出来事について話し合ってみましょう。
- 子供の教育: いつ頃、どのような進路を考えているか?(例:大学進学、留学など)
- 住宅: 今後、持ち家を検討するか?リフォームや買い替えの予定はあるか?
- 車: いつ頃買い替えが必要になりそうか?
- 自分たちの老後: いつ頃引退したいか?どのような場所で、どのような生活を送りたいか?
- 旅行や趣味: 将来、大きな旅行に行きたいか?何か新しい趣味を始めたいか?
- 親の介護: 将来、親の介護が必要になった場合、どのような選択肢があるか?
これらの項目について、夫婦で一緒に考える時間を持つことで、将来必要になるかもしれないお金について具体的なイメージを持ちやすくなります。
ステップ3:話し合ったことから「共通できる目標」を見つける
ステップ1とステップ2で話し合った内容から、夫婦で「これなら一緒に目指したい」「これなら協力したい」と思える「共通目標」を見つけ出します。
例えば、「子供が希望する大学に進学させてあげたい」「定年後は二人で海外旅行に行きたい」「漠然としたお金の不安をなくして、安心して老後を迎えたい」といったことが、共通目標となり得ます。
共通目標は一つである必要はありません。複数あっても構いません。重要なのは、夫婦二人で「一緒に叶えたい」と思える目標であることです。これにより、「何のために貯めるのか」という問いに対する明確な答えが見つかります。
共通目標がお金の話し合いをスムーズにする理由
共通目標が設定できると、その目標達成のためにどうすれば良いか、という建設的な話し合いに進みやすくなります。
例えば、「10年後に夫婦で海外旅行に行く」という目標があれば、「そのためには年間〇〇円貯めよう」「そのためには、少し節約できるところを探してみよう」というように、具体的な行動計画を立てやすくなります。
話し合いが「使途不明金が多い」「貯金が足りない」といった現状の不満から始まるのではなく、「目標達成のためにどうするか」という未来志向の話し合いに変わるため、感情的になりにくく、解決策を見つけやすくなるのです。
話し合いを進めるための具体的なアドバイス
共通目標が見つかっても、いざ話し合いを始めるとなると、どのように進めれば良いか迷うこともあるかもしれません。特に、お金の話を避ける傾向のあるパートナーと話す際には、配慮が必要です。
- 話しやすい雰囲気と時間を選ぶ: 食事中や寝る前など、リラックスできる時間帯を選びましょう。カフェなど、自宅以外の場所も話しやすいかもしれません。
- 「お願い」の形で切り出す: いきなり「お金の話があるんだけど」と重く切り出すのではなく、「将来のこと、少し一緒に考えてみない?」「〇〇(共通目標)のために、どんなことができるか話してみない?」のように、協力を求める形で提案してみましょう。
- 現状を「見える化」する準備: 目標達成に向けて、現状を把握することは重要です。現在の貯蓄額や毎月の支出などを、夫婦で一緒に確認できる資料(家計簿アプリの画面、簡単な一覧表など)を準備しておくと、話し合いが具体的になります。「何にいくら使っているか分からない」という状況では、目標達成に向けた具体的な計画が立てにくいため、「見える化」は必須のステップです。
- 「なぜ」を大切にする: 目標達成に向けた行動(例:節約、貯蓄)について話し合う際には、「なぜ、それが必要なのか」という理由(共通目標)を常に意識することで、前向きに取り組めます。
- 相手の意見を尊重する: 自分の考えを一方的に押し付けるのではなく、相手の意見や考えにも耳を傾けましょう。「こうしたらどうかな?」と提案する形が望ましいです。
- 感情的になりそうになったら休憩: 話し合い中に感情的になりそうだと感じたら、「少し休憩しようか」と一時中断することも有効です。冷静さを保つ工夫をしましょう。
- 小さな一歩から始める: いきなり全てを決めようとせず、まずは「月に一度、お金の話をする時間を設ける」「家計簿アプリを一緒に見てみる」といった小さな一歩から始めても構いません。継続することが重要です。
パートナーが非協力的な場合のヒント
パートナーがお金の話に乗り気でない場合、共通目標を見つける段階でも難航するかもしれません。そのような場合は、無理強いせず、以下の点を試してみてください。
- まずは自分の不安や考えを calmly に伝える: 「私は将来のお金について、少し不安に思っていることがあるんだ。あなたはどう思っているか、少し聞かせてもらえるかな?」のように、自分の気持ちを伝えることから始めます。
- 相手の興味を引く情報提供: 例えば、共通の趣味や旅行の話題から、「〇〇に行くには、これくらいかかるみたいだよ。将来行けたらいいね」のように、目標と金額を結びつけて示唆してみることも有効です。
- ポジティブな側面に焦点を当てる: お金の話は「足りない」「節約」といったネガティブな側面だけでなく、「将来の安心」「叶えたい夢」といったポジティブな側面に焦点を当てることで、相手の抵抗感を和らげることができます。共通目標は、このポジティブな側面の最たるものです。
- 専門家への相談を提案する: 第三者であるファイナンシャルプランナーなどに相談することを提案するのも一つの方法です。専門家を交えることで、感情的にならず、客観的な視点でお金の話を進められることがあります。
まとめ:共通目標は夫婦の未来を照らす光
夫婦でお金の共通目標を見つけるプロセスは、単に貯蓄額を決めるだけでなく、お互いの将来に対する価値観や夢を共有し、夫婦の絆を深める貴重な機会です。
漠然としたお金の不安は、共通目標という具体的な光を灯すことで、進むべき道が見えてきます。そして、その目標に向かって夫婦で協力する経験は、大きな安心感と自信をもたらしてくれるでしょう。
もし、まだ夫婦でお金について深く話し合ったことがないという方も、この記事でご紹介したステップを参考に、まずは小さな一歩から始めてみてください。共通目標を見つけるための話し合いは、夫婦の未来をより豊かに、より安心して生きるための、大切なスタート地点となるはずです。