家計簿が苦手な夫婦でも安心!『ざっくり家計』で将来のお金不安を解消する話し合い方
家計簿が苦手でも「お金の不安」は解消できる
「将来のお金が漠然と不安」「夫と何度かお金の話を試みたけれど、結局進まない」「家計簿をつけようと思っても、細かすぎて挫折してしまう」。このようなお悩みを抱えている方は少なくないでしょう。特に、家計の管理を主にパートナーに任せている場合、ご自身の状況を把握しづらいと感じるかもしれません。
細かな家計簿をつけることに抵抗がある方や、パートナーが数字の話を避けたがる場合でも、ご夫婦で「わが家のざっくりとしたお金の全体像」を把握することは十分に可能です。この「ざっくり家計」の考え方を取り入れることで、漠然としたお金の不安を解消し、具体的な将来へのステップを共に踏み出すきっかけを掴むことができるでしょう。
この記事では、家計簿が苦手なご夫婦でも安心して取り組める「ざっくり家計」の把握方法と、それをご夫婦で円満に話し合うための具体的なアプローチをご紹介します。
なぜ「ざっくり家計」が、お金の不安解消に有効なのか
家計簿をつけることは、家計の「見える化」に非常に有効な手段です。しかし、全ての支出を細かく記録すること自体がストレスとなり、途中で諦めてしまうケースも多く見られます。また、パートナーが数字に苦手意識を持っていたり、細かな家計管理に興味がなかったりすると、話し合いが滞ってしまう原因にもなりかねません。
「ざっくり家計」とは、一つひとつの支出の記録にこだわりすぎず、ご家庭に入ってくるお金(収入)、必ず出ていくお金(固定費)、おおよそ出ていくお金(変動費)という、家計の大きな流れを掴むことを指します。このアプローチは、以下のような点で有効です。
- ハードルが低い: 細かな記録の手間が少ないため、始めやすく続けやすいという利点があります。
- 本質が見えやすい: 細部にとらわれず、家計のどこに課題があるのか、どの部分を見直せば効果的かといった全体像を捉えやすくなります。
- パートナーの抵抗が少ない: 数字に苦手意識のある方でも、「ざっくりなら」と協力してくれる可能性が高まります。
- 漠然とした不安の解消: 全体像を把握するだけでも、「今いくらあるのか」「月にいくら必要か」という基本的な部分が見えてくるため、漠然とした不安が具体的な状況認識へと変わります。
「ざっくり家計」で把握すべき3つの要素
「ざっくり家計」でまず把握すべきは、以下の3つの要素です。これらは、家計簿をつけずとも、通帳やクレジットカードの明細、給与明細などを確認することで、ある程度把握が可能です。
- 毎月の手取り収入総額: ご夫婦それぞれの手取り収入を合計した金額です。源泉徴収票や給与明細で確認できる最も基本的な数字であり、家計を支える基盤となります。
- 毎月の固定費の総額:
毎月ほぼ決まった金額で発生する費用です。
- 家賃や住宅ローン返済
- 保険料(生命保険、医療保険、自動車保険など)
- 通信費(スマホ、インターネットなど)
- サブスクリプションサービス(動画配信、音楽、新聞など)
- 車のローンや維持費
- 子どもの習い事の月謝 これらは銀行引き落としやクレジットカード決済が多いため、通帳やクレジットカードの明細を見ることで簡単に把握できます。
- 毎月の変動費の目安:
月によって変動する費用ですが、おおよその目安を把握することが重要です。
- 食費
- 日用品費
- 光熱費(電気、ガス、水道)
- 医療費
- 交通費
- 娯楽費、交際費、教育費(塾代など固定費以外のもの) これらはレシートを保管していなくても、数ヶ月分の銀行引き落としやクレジットカードの利用履歴、あるいは現金支出の感覚から「だいたいこれくらい使っているな」という目安を洗い出すことで十分です。
まずはこれらの数字をご自身で「ざっくり」と把握し、ご夫婦で話し合う準備を始めましょう。
夫と「ざっくり家計」を話し合うための準備と切り出し方
夫が金銭面の話を避ける傾向がある場合、切り出し方や話し合いの雰囲気が非常に重要になります。
1. 妻からの準備:完璧を目指さない姿勢
ご自身で上記の3つの要素をざっくりと把握してみることで、現状が「見える」ようになります。この際、完璧な数字である必要はありません。「だいたいこんな感じ」という感覚で大丈夫です。 準備段階で、相手を責めるような気持ちや、細かい数字を追求する姿勢は持たないように心がけましょう。あくまで「一緒に考えていきたい」という協調的な姿勢が重要です。
2. 話し合いのきっかけ:未来や夢から切り出す
お金の話を直接切り出すと、身構えてしまう方もいます。まずは、将来の夢や目標、例えば「旅行に行きたい」「子どもの教育について考えたい」「老後も安心して暮らしたい」といった話題から話し始めてみましょう。
「この前、〇〇さんが素敵な旅行に行った話を聞いてね。私たちも将来、ああいうところに行ってみたいね。そのためには、今から少しずつ準備できることはあるかな?」
このように、具体的な目標を共有する形で切り出すことで、お金の話が「責められている」と感じさせにくく、「未来のために前向きに考えること」と捉えてもらいやすくなります。
3. 話し合いの雰囲気作り:穏やかでリラックスできる環境
- 時間と場所の選定: 夫婦ともに時間的・精神的に余裕のある時に話しましょう。夕食後、休日の昼間など、落ち着いて話せる時間を選んでください。カフェや散歩中など、自宅以外の場所がリラックスできる場合もあります。
- 短時間から始める: 最初から全てを解決しようとせず、10分や15分など、短い時間で「ざっくり」話すことから始めましょう。
- お互いの気持ちを尊重する: 相手の意見や考えを否定せず、まずは耳を傾ける姿勢が大切です。
具体的な「ざっくり家計」の話し合い方
準備が整ったら、いよいよご夫婦での話し合いです。
1. まずは「収入の全体像」を共有する
「実は、最近お金のことが気になっていて、少し話したいんだけど、少し時間いいかな?」と切り出し、まずは「お互いの手取り収入が月にどのくらいあるのか」を共有してみましょう。 「お互いの収入をきちんと把握している?」という問いかけから入るのも良いでしょう。意外と知らないこともあります。
2. 「固定費」を一緒に見ていく
次に、毎月必ずかかる「固定費」について、通帳やクレジットカードの明細を一緒に見ながら確認してみましょう。 「これは住宅ローンで、これが保険で…」と、一つひとつ「どんなお金か」を確認しながら、合計額をざっくりと出してみます。この固定費は、普段意識しなくても出ていくお金なので、合計額を知るだけでも漠然とした不安が軽減されることがあります。
3. 「変動費の目安」を共有する
「食費はだいたい月にこのくらい使っているかな?」「光熱費は季節によって変わるけど、平均するとこれくらいかな?」といった形で、おおよその目安を共有します。 この時、細かなレシートを見せる必要はありません。「感覚」で良いので、ご夫婦で「これくらい使っている」という共通認識を持つことが重要です。
4. 「ざっくり」の数字から現状を共有する
収入合計から固定費合計と変動費目安を差し引くことで、「ざっくり」と月にいくらくらいのお金が残るのか、あるいは足りていないのかが見えてきます。 「ざっくり計算すると、毎月これくらいの収入があって、固定費がこれで、生活費がこれくらいかかってるみたい。だいたい月にこれくらい貯蓄に回せそうかな?」 このざっくりとした現状認識が、次のステップへの大きな一歩となります。
5. ポジティブな視点でお金の話を「自分ごと」にする
「これだけあれば、将来の〇〇(旅行、家の購入、子どもの教育など)のために、少しずつ貯めていけるかもしれないね」「もし、もう少し余裕があれば、何か始めたいことある?」 このように、数字の羅列ではなく、ご夫婦で実現したい夢や目標と紐付けて話すことで、お金の話を「自分たちの未来」として捉えやすくなります。
夫が非協力的な場合の対処法
一度の話し合いで全てが解決するとは限りません。夫が依然として非協力的な態度をとる場合でも、諦めずに以下の点を試してみてください。
- 完璧を求めない: 少しでも話が進んだら、そこで一旦区切りましょう。次回に持ち越しても構いません。「今日は少しだけ話せてよかったね、ありがとう」と感謝の言葉を伝えることで、次回へのハードルを下げられます。
- 短期・少額から始める: 「今月5,000円だけでも貯めてみない?」など、具体的な行動を小さな単位で提案してみるのも良いでしょう。成功体験を積むことで、協力的な姿勢に変わっていくこともあります。
- 妻が先行して「見える化」を進める: まずは妻が率先して、家計の「ざっくり」とした状況をまとめてみるのも一つの方法です。そして、「こんな感じだったよ」と、一方的な報告にならない形で共有を試みます。
- 第三者の力を借りる: どうしても話し合いが進まない場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することを検討してみるのも良いでしょう。客観的な視点からアドバイスを得ることで、夫婦の対話がスムーズになることがあります。
「ざっくり家計」から未来へ繋げるステップ
ご夫婦で「ざっくり家計」の全体像を把握できたら、それだけでも漠然とした不安は大きく軽減されているはずです。しかし、そこからさらに「将来の安心」を具体的に築いていくためには、次のステップへ進むことが重要です。
- 定期的なチェック: 月に一度、あるいは数ヶ月に一度など、定期的に「ざっくり家計」を見直す時間をご夫婦で設定しましょう。この習慣化が、将来への安心を着実に積み上げていきます。
- 目標設定の第一歩: ざっくりと家計が見えたことで、「月にあと〇万円貯蓄に回せそう」「〇〇のために、いくらくらい必要そう」といった具体的な目標が見えてくるはずです。無理のない範囲で、小さな目標から設定し、達成感を共有していきましょう。
- 支出見直しの検討: もし家計に課題が見つかった場合は、例えば「変動費の中で特に何にお金を使っているか」「固定費で削減できる部分はないか」といった具体的な見直しへと段階的に進むことができます。
まとめ:最初の一歩は「ざっくり」で十分
夫婦のお金に関する話し合いは、時に難しく感じられるかもしれません。特に家計簿をつけることに苦手意識があったり、パートナーが数字の話を避けたがったりする場合はなおさらです。
しかし、完璧な家計簿がなくても、「ざっくり家計」として収入、固定費、変動費の全体像を把握するだけでも、将来のお金に対する漠然とした不安は大きく解消されます。大切なのは、細かな数字にこだわりすぎず、「夫婦で一緒に未来を考えたい」という気持ちを共有し、穏やかな雰囲気で話し合いを始めることです。
「ざっくり」で良いから始める、この最初の一歩が、ご夫婦の将来のお金を安心に変える大きな力となるでしょう。