夫婦で「何のために？」共通目標を見つける、安心できるお金の話し合い方
夫婦でお金の話、その「何のために？」が見えていますか？
夫婦でお金について話し合うことの重要性は理解しているものの、「何から話せばいいのか分からない」「話し合っても感情的になってしまう」「夫（妻）が協力的ではない」といったお悩みを抱えている方は少なくありません。特に、将来の教育費や老後資金など、漠然とした不安はあっても、具体的な話し合いが進まないという状況は多くのご家庭で見受けられます。
お金の話をスムーズに進めるための大切な一歩は、「何のためにお金が必要なのか」という共通の目標を夫婦で見つけることです。目標がないまま「貯金を増やそう」「無駄遣いを減らそう」と話し合っても、どこか他人事になってしまったり、意見が食い違ったりすることが少なくありません。
この記事では、夫婦で「何のために」という共通目標を見つけ、将来への漠然とした不安を安心に変えていくための具体的なステップと話し合い方をご紹介します。
なぜ「共通目標」が必要なのでしょうか？
夫婦のお金の話し合いにおいて、共通目標が羅針盤のような役割を果たします。目標があることで、以下のようなメリットが生まれます。
- 話し合いの目的が明確になる: ただ漠然とお金の状態を憂うのではなく、「この目標を達成するために、今どうすれば良いか」という前向きな視点で話し合えます。
- 協力しやすくなる: 同じ目的地を目指しているという意識が生まれ、夫婦二人三脚で家計管理や貯蓄に取り組みやすくなります。どちらか一方に負担が偏る事態を防ぎやすくなります。
- モチベーションが維持できる: 目標達成という具体的なゴールがあることで、節約や貯蓄のモチベーションを維持しやすくなります。途中で困難があっても、「何のために頑張るのか」が明確なので乗り越えやすくなります。
- 漠然とした不安が具体的な課題に変わる: 将来への不安が、「〇年後までに△△万円貯めるためには、毎月〇〇円貯蓄する必要がある」といった具体的な課題に分解され、対策を立てやすくなります。
共通目標は、高額なマイホーム購入や早期リタイアのような大きな目標である必要はありません。「年に一度の家族旅行」「子供の大学進学費用」「自分たちの趣味や学びのための資金」「もしもの時のための安心資金」など、お二人が大切にしたいことであれば何でも構いません。
共通目標を見つけるための３つのステップ
では、具体的にどのように共通目標を見つけていけば良いのでしょうか。以下の３つのステップで進めてみましょう。
ステップ１：まずは一人で「お金で叶えたいこと」を考えてみる
夫婦で話し合う前に、まずはご自身が「お金を使って何を実現したいか」「どんな将来に安心を感じるか」をじっくり考えてみましょう。箇条書きでも良いので、思いつくままに書き出してみるのがおすすめです。
- 将来、住みたい家や場所は？
- 挑戦してみたい趣味や学びは？
- 子供にどんな教育を受けさせたい？
- 旅行に行きたい場所や頻度は？
- 何歳くらいで仕事をリタイアしたい？
- リタイア後の生活はどんなイメージ？
- もし病気やケガをした時、お金の心配はしたくない？
- 実家や両親のサポートについてどう思う？
この段階では、実現可能かどうかを考える必要はありません。あくまでご自身の「こうなったらいいな」「これだけは備えておきたい」といった素直な気持ちを整理することが大切です。
ステップ２：お互いの「叶えたいこと」を共有する
ステップ１でお互いが考えたことを持ち寄り、共有する時間を作りましょう。この話し合いで最も重要なのは、「聴く姿勢」です。
- リラックスできる雰囲気を作る: 食事の後や週末のゆったりした時間など、落ち着いて話せるタイミングを選びましょう。
- 相手の話を最後まで聞く: 途中で口を挟んだり、否定的な意見を言ったりせず、まずは相手が何を大切にしているのかを理解しようと努めます。
- 「なぜそう思うの？」と問いかける: 相手の考えの背景にある価値観や想いを深く理解するために、「なぜそれをしたいの？」と優しく問いかけてみましょう。
- ご自身の考えを正直に伝える: 相手の話を聞いた後、ご自身が考えたことを率直に、しかし押し付けがましくなく伝えます。
この段階で、お互いの考えに違いがあることに気づくかもしれません。それは自然なことです。金銭感覚や将来への考え方は人それぞれ異なります。「違っていて当たり前」という前提で、お互いの考えを尊重し合う姿勢が円満な話し合いには不可欠です。
ステップ３：共通する目標や、協力できる目標を見つける
お互いの「叶えたいこと」を共有したら、次は二人の考えの中で共通する部分や、お互いが協力して実現したいと思える目標を見つけていきます。
例えば、一方が「老後資金の心配をなくしたい」と考え、もう一方が「年に一度の家族旅行を続けたい」と考えているとします。これらは一見別々の目標に見えますが、「将来の安心」という共通の願いがあったり、旅行のために計画的に貯蓄することが老後資金準備にも繋がったりと、関連性が見いだせる場合があります。
また、片方が強く望んでいることでも、もう片方が「あなた（たち）のために協力したい」と思えれば、それは二人にとっての「協力目標」となり得ます。
いくつかの目標が見つかったら、すぐに全てを実現しようとするのではなく、まずは優先順位をつけてみることをおすすめします。「いつ頃までに実現したいか」「どれくらい重要か」といった視点で話し合い、当面の目標を一つか二つに絞ると、次への一歩が踏み出しやすくなります。
夫（妻）が「お金の話は苦手…」という場合のアプローチ
「夫（妻）がそもそもお金の話をしたがらない」「将来の話を避けがち」という場合、いきなり「目標を設定しよう」と切り出しても難しさを感じるかもしれません。そのような場合は、以下のアプローチを試してみてはいかがでしょうか。
- 「お金の話」という言葉を使わない: 「これからどんな暮らしがしたい？」「将来、一緒にやってみたいことはある？」など、お金そのものではなく、将来の夢やライフスタイルに関する話題から入ります。
- 責めるのではなく、共感を: 「私も将来のことが少し心配で」「私たち家族にとって、〇〇（旅行など）は大切だよね」など、ご自身の気持ちや共通の体験に触れながら共感を求めます。
- 具体的な提案ではなく、問いかけを: 「〜すべき」という指示や提案ではなく、「〜についてはどう思う？」「〜するにはどうしたらいいかな？」といった問いかけ形式にすることで、相手の意見を引き出しやすくなります。
- 小さな成功体験を積む: 最初は大きな目標ではなく、「来年の旅行のために毎月〇〇円貯めてみない？」など、短期的で達成しやすい目標から一緒に取り組んでみるのも有効です。
- 話し合いの時間を意識的に設ける: 食事の後や休日の午前中など、二人のための時間を意識的に作り、「ちょっと話したいことがあるんだけど」と穏やかに切り出してみましょう。
見つけた目標を具体的な計画に繋げるために
夫婦で共通目標を見つけることは、お金の話し合いの素晴らしい第一歩です。目標が見つかったら、次はそれを具体的な計画に落とし込んでいく段階に進みます。
例えば、「５年後に家族旅行で海外に行きたい」という目標が見つかったら、「いくらくらい必要そうか」「そのためには毎月いくら貯蓄すればいいか」といった具体的な金額や期間を概算してみましょう。
そして、そのために「現在の家計がどうなっているか」を把握することが重要になります。収入はいくらで、毎月の支出はいくらか。何にどれくらい使っているのかが「見える化」されることで、目標達成に向けた課題や改善点が見えてきます。
これらの具体的なステップは、次の話し合いのテーマになります。一度に全てを話し合おうとせず、少しずつ段階を踏んでいくことが、話し合いを継続し、夫婦二人の安心を築くための鍵となります。
まとめ：共通目標が、未来への安心を築く
夫婦でお金について話し合うことは、時に難しさを伴いますが、「何のために」という共通目標を見つけることは、その話し合いを前向きに進め、将来への漠然とした不安を解消するための非常に有効な方法です。
お互いの「叶えたいこと」を尊重し合いながら共通目標を見つけ、一歩ずつ具体的な行動に繋げていくプロセスは、お金の安心だけでなく、夫婦の絆を深めることにも繋がるでしょう。
焦る必要はありません。まずは、リラックスした雰囲気の中で、お互いの「お金で叶えたい夢や安心」について語り合う時間を持つことから始めてみませんか。その一歩が、きっと明るい未来へと繋がるはずです。