夫婦で共有する「将来のお金目標」:教育費・老後資金を具体的に話し合うステップ
夫婦で「将来のお金目標」を設定することの重要性
夫婦でお金について話し合うことは、日々の家計管理だけでなく、将来に向けた安心を築く上でも非常に重要です。特に、お子様の教育費やご自身の老後資金など、将来必要となる大きなお金について、夫婦で具体的な目標を設定し、共有することは欠かせません。
漠然としたお金の不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、不安の正体を明らかにし、「いつまでに、いくら必要で、そのためにはどうすれば良いか」という具体的な目標を持つことで、不安は解消され、前向きに行動できるようになります。そして、その目標を夫婦で共有することで、お互いが協力し、共に目標達成を目指す体制を築くことができるのです。
この目標設定は、一度行えば終わりではありません。ライフステージの変化に合わせて見直しを行い、常に夫婦で共通認識を持ち続けることが大切です。
なぜ夫婦で具体的な目標設定が必要なのか
将来のお金について夫婦で具体的な目標を設定する理由はいくつかあります。
まず、必要なお金の全体像を把握できるためです。教育費がいつ、いくら必要になるのか。老後資金として、毎月どれくらいの生活費がかかり、そのためには総額いくら貯蓄が必要なのか。こうした具体的な数字を共有することで、「自分たちにはこれくらいのお金が必要なんだ」という共通認識が生まれます。
次に、目標達成に向けた具体的な行動計画を立てやすくなる点が挙げられます。例えば、「5年後に子供の大学入学資金として300万円必要だから、年間60万円、毎月5万円を貯蓄しよう」というように、目標から逆算して日々の家計管理や貯蓄方法を具体的に決めることができます。
また、夫婦の協力体制が生まれることも大きなメリットです。目標を共有していれば、どちらか一方だけが頑張るのではなく、「夫婦で力を合わせて目標を達成しよう」という意識が芽生えます。お金の使い方に対する意識も変わり、「これは目標達成のために必要な支出か」と二人で考えるようになります。
さらに、将来に対する漠然とした不安を具体的な課題に変えられるためです。「なんとなく老後が不安」という気持ちも、「〇歳までに老後資金として△円を準備する」という目標を持つことで、不安は「目標達成のために取り組むべき課題」へと変化します。これにより、建設的な行動へと繋がります。
将来のお金目標を話し合うための準備
具体的な目標設定の話し合いを始める前に、いくつか準備しておくとスムーズに進められます。
1. 家計の現状を把握する
まずは、現在の収入、支出、貯蓄額、資産状況などを夫婦で確認しましょう。家計簿をつけている場合はそれを活用し、つけていない場合も一度、おおまかで良いので現状を把握することが大切です。これにより、「今、どれくらいの貯蓄ができているのか」「将来のためにどれくらい使える余裕があるのか」が見えてきます。
2. 将来のイベントと費用をリストアップする
お子様の進学、マイホーム購入、車の買い替え、旅行、趣味への支出、そして最も重要な老後資金など、将来起こりうるライフイベントと、それに伴う必要経費をリストアップしてみましょう。現時点では概算で構いません。インターネットや書籍で教育費や老後生活費の平均などを調べるのも参考になります。
3. 落ち着いて話せる環境を整える
お金の話は時に感情的になりやすいテーマです。夫婦でじっくりと話し合うために、時間と場所に余裕を持ち、お互いがリラックスして話せる環境を整えましょう。例えば、週末の午前中や、お子様が寝静まった後など、邪魔が入らず、落ち着いて対話できる時間を選ぶのが良いでしょう。お互いを尊重し、非難するのではなく、共に解決策を探る姿勢が大切です。
夫婦で具体的なお金目標を設定する話し合いステップ
準備ができたら、いよいよ具体的な目標設定の話し合いに入ります。以下のステップで進めてみましょう。
ステップ1:お互いの「将来こうしたい」を語り合う
いきなりお金の話から入るのではなく、「将来、どんな暮らしがしたいか」「どんな趣味を楽しみたいか」「子供にはどんな経験をさせてあげたいか」など、お金に直結しない将来の夢や希望から話し始めてみましょう。これにより、お互いの価値観や大切にしたいことが見えてきます。
ステップ2:それらの実現に必要なお金を考える
ステップ1で語り合った夢や希望を実現するために、どれくらいのお金が必要になりそうかを考えます。例えば、「子供を海外の大学に行かせたい」「夫婦で世界一周旅行がしたい」「田舎でのんびり暮らしたい」といった希望に対し、概算で良いので必要な費用や時期を具体的に洗い出していきます。教育費や住居費、老後資金など、カテゴリー別に整理すると分かりやすいでしょう。
ステップ3:具体的な目標金額と時期を設定する
ステップ2で洗い出した費用を元に、具体的な目標を設定します。「〇年後に子供の大学入学金として〇〇円」「△歳までに老後資金として△△円」というように、金額と時期を明確に決めましょう。複数の目標がある場合は、優先順位をつけることも大切です。非現実的な高すぎる目標ではなく、家計の現状も踏まえて、夫婦で「これなら頑張れそうだ」と思える現実的な目標を設定することが継続の鍵となります。
ステップ4:目標達成のための行動計画を話し合う
目標が決まったら、それを達成するための具体的な行動計画を立てます。毎月の貯蓄額、積立投資の活用、家計の見直しによる節約、副収入を得る方法など、どのような方法で目標金額を達成するかを話し合います。お互いの得意なことや役割分担を決めるのも良いでしょう。例えば、一方が節約を、もう一方が資産運用を担当するなどです。
夫が話し合いに非協力的・苦手な場合の工夫
将来のお金目標について話したいと思っても、パートナーが乗り気でない、あるいは避ける傾向がある場合もあるかもしれません。そのような場合の工夫をいくつかご紹介します。
- 責めずに、一緒に考える姿勢を示す: 「なんで将来のことを考えてくれないの?」と責めるのではなく、「一緒に将来のことを考えて、お互い安心して暮らせるようにしたいね」というように、協力して未来を築きたいという前向きなメッセージを伝えましょう。
- 小さな一歩から始める: 最初から全ての目標を一度に決めようとせず、まずは「来年の家族旅行のために〇円貯めよう」といった身近で小さな目標から話し始めてみるのも有効です。成功体験を積み重ねることで、将来の大きな目標についても話しやすくなります。
- 「私」を主語にして伝える: 不安や希望を伝える際に、「あなたは~してくれない」ではなく、「私は将来のお金について少し不安に感じていて、一緒に考えてくれると嬉しいな」というように、「私」を主語にして気持ちを伝えましょう。
- 情報収集を共有する: 一人で情報収集するのではなく、教育費や老後資金に関する情報が載った書籍や信頼できるサイトなどを「一緒に見てみない?」と提案してみましょう。客観的な情報に触れることで、パートナーも現実味を持って考えやすくなる場合があります。
- 専門家の力を借りる: 夫婦だけでは話し合いが進まない場合や、専門的な知識が必要な場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも検討しましょう。第三者が入ることで、冷静に話し合いが進み、具体的なアドバイスを得られることもあります。
目標設定後の継続的な話し合い
一度目標を設定しても、それで終わりではありません。目標達成に向けた進捗を確認したり、状況の変化に応じて目標や計画を見直したりするために、定期的な話し合いの機会を設けることが大切です。
例えば、半年に一度や一年に一度など、夫婦で話し合いのタイミングを決めておきましょう。この時間では、設定した目標に対して計画通りに進んでいるか、何か困っていることはないかなどを確認し合います。うまくいっている点はお互いを労い、計画通りに進んでいない場合は、原因を分析し、改善策を二人で考えます。
継続的な話し合いを通じて、夫婦がお金に関する情報を共有し、一緒に家計を管理していく意識を高めることができます。
まとめ
夫婦で将来のお金に関する具体的な目標(教育費、老後資金など)を設定し、共有することは、将来への漠然とした不安を解消し、夫婦で協力して安心できる未来を築くための重要なステップです。
まずは家計の現状を把握し、将来のイベントと費用をリストアップするといった準備から始めましょう。話し合いでは、お互いの将来の夢や希望を語り合うことからスタートし、そこから必要な費用、具体的な目標金額と時期、そして行動計画へと段階的に進めていくのが効果的です。
もしパートナーが話し合いに苦手意識を持っている場合は、責めずに協力姿勢を示したり、小さな目標から始めたり、専門家の力を借りたりといった工夫を取り入れてみてください。
一度目標を設定したら終わりではなく、定期的に進捗を確認し、状況に応じて見直しを行うことで、常に夫婦で共通認識を持ち、共に目標達成を目指していくことができます。
将来のお金について夫婦でしっかりと向き合い、具体的な目標を設定するプロセスは、時に大変に感じることもあるかもしれませんが、それを乗り越えることで、夫婦の絆はより一層深まり、将来への大きな安心感を得ることができるはずです。ぜひ、この記事を参考に、夫婦でお金について話し合う第一歩を踏み出してみてください。